多くのピアニストの意見が反映され、発展してきたこのピアノシューズは、指導の上でも貴重
藤岡由記さんプロフィール
東海大学及び常磐大学講師、各種コンクール審査員
Yuki Fujioka & Luz Leskowitz Duo Recital (Marmorsaal Mirabel Schloss)、ZONGORAFESZTIVÁL In Memoriam Liszt Ferenc(Esterzy-kastély)出演など
《 ピアノシューズの感想 》
ドビュッシーは「ペダルは技術を補うためのもの」と語ったと伝えられていますが、
現代では、技術を補うだけではなく、ペダルがこの世のものとは思えないような美しい効果を生むこと、
ホールの音響とピアノの個性の間で、どうしても必要なコントロールの武器になることは周知の事実です。
世界で活躍する素晴らしいピアニストたちのペダリングを見ていると、右足だけではなく、左足も、とても細かく駆使しています。
それは、モーツァルトやシューベルトなど古典の作品においても同様です。
ところが、ペダルについての指導は本当に難しいものです。
楽譜の解釈から理想を築き、耳で音響を作り、当日のコンディションに合わせコントロールする…その難しさは勿論ですが、
よく考えると、そもそも基礎的な踏み方を「足裏のこの部分を使いましょう」「このくらいのヒールにしましょう」などと教わったでしょうか?
そうした中で、多くのピアニストの意見が反映され、発展してきたこのピアノシューズは、指導の上でも貴重です。
実際に使ってみると、ヒールの安定感、底面の反発、側面の柔軟さは、足裏全体を使ったり、親指の付け根だけを使ったりと自由自在なペダル操作を可能にしてくれます。
指導者としては「ピアノシューズを使ってごらん」がまず1つのアドバイスになるのです。