ピアノシューズなら自分の身体と一体化させて意思をペダルまで繋げることが出来ます
~伊井光子先生プロフィール~
愛知県立明和高等学校音楽科、埼玉大学教育学部音楽専攻卒業、同大学大学院修了。
子供のための音楽コンクール(現愛知ピアノコンクール)金賞、PTNAピアノコンペティション全国大会入選他。愛知、東京などでリサイタル開催。現在は、後進の指導に力を入れており、門下生の多くが国内外のコンクールで入賞。
国内最大級・PTNAピアノコンペティションでは毎年10名以上の生徒が全国大会に進出。
また、ピアノデュオ指導にも力を注ぎ、2019年度ピティナ全国大会では金賞2組、銀賞2組を輩出している。ピティナ・ピアノコンペティション、ショパン国際ピアノコンクールinAsiaをはじめ、日本バッハコンクール、ブルグミュラーコンクール、日本クラシックコンクール、ベートーヴェンコンクール、エリーゼ音楽祭などコンクール審査員を務める。
全日本ピアノ指導者協会正会員、名古屋東ステーション代表。ギロック協会会員。修文大学短期大学部非常勤講師。
~感想~
ピアニスト、トリフォノフのウィーンでのセミナーを聴きました。彼は学生相手のセミナーの中で「ペダルは8段階に踏みかえて!」と言っていました。
8段階‼️‼️
私の中ではせいぜい3〜4段階が普通で、日本ではペダルについてそこまで細かい指導を受けません。しかし、ペダル次第で演奏を素晴らしいものに変えることも台無しにすることも可能です。日本人はもっとペダルに意識を持つべきだとその時感じました。
私はピアニストシューズを普段のレッスン時から履いています。多くの感想にあるように、ヒールが高いものでも踵が安定してぐらつきません。靴が足にフィットし、ペダルの感触がとてもよく分かります。試しに足の甲を左右に傾けてみても、踵が滑ってしまうということはありません。
私には高いヒールでの苦い思い出があります。10年以上前、高校生の生徒のコンクールについて行った時のことです。確か生徒はリストの大曲を弾いたのですが、ドレスにハイヒールを履いての演奏でした。高音でf(フォルテ)の和音を弾いた後、すぐに低音での和音に飛ぶところでした。体重は高音から低音なので、右側(右足)から左側(左足)に移動します。盛り上がりの絶頂で、彼女の左足のヒールが滑り、身体はそのまま大きく傾き、彼女は低音の鍵盤に倒れ込みました!もちろん、大音量での不協和音に審査員も観客もびっくりして一同に顔をあげました。私も一瞬のことで何が起こったのかわかりませんでした。そのまま本人は体制を戻して弾いていきましたが、大きなミスタッチでそのコンクールは終わりました。
その時に、もしピアニストシューズがあったなら、このような失敗は無かったことでしょう。
16分音符で浅く細かくペダルを踏む時も、僅かな残響のようにほんの少しペダルをかけたいという絶妙なペダリングが必要な時も、このシューズなら自分の身体と一体化させて意思をペダルまで繋げることが出来ます。
生徒達には美しい音と響きをよく聴きながらペダルを踏むように話しています。子どもの頃から音を聞き分け、効果的にペダルを踏むことは耳を養うことに繋がると思います。
子どもの靴としては少々高価ですが、ストラップを外したり位置を変えたり…と3種類での使い方が出来、素材や質にこだわったお値段以上のシューズだと思います。
私は子供用シューズが履けるようになった生徒達には、ピアノシューズを普段から使って練習するように勧めています。